荒川の水切り遊び - トピック返信
40. 理想の水切り石を作る
【返信元】 1. 水切り遊びのまとめ
2017年07月25日 16:48
 私も来春は70歳。加齢による瞬発力の低下で、奇蹟的な数のジャンプは見られなくなりました。それでも良い石を見つけ、条件を選べば、40段ほどのジャンプが出ることもあり、充分に楽しめます。若い水切り名人も出てきましたので、今後は、できる限りサポートをしてゆきたいと思っています。
 そこに、久し振りに面白いテレビ番組の企画が舞い込んできました。私の体調も良くなく、ロケの場所も遠く、用事もあり、また2日間のロケ日が土日ということで、熊谷水きり倶楽部の信頼できる会員にお願いしようと考えました。
 しかし、共演者の年齢が40歳代と50歳代で、指導もあるので、年寄りの私にお願いしたいということでした。番組の水切り企画が消滅するのは残念です。ここは頑張るしかありません。
 日本では水切りの上手な人のことを、チャンピオンではなく名人と言います。日本の水切りにはそんなイメージがあるのかも知れません。私はその表現が気に入っています。他に差をつけて君臨するのがチャンピオンだとすれば、名人は、何かの悟りを得た仙人のようなイメージがあります。私が水切りで表現したいことは、水切り名人である方が都合が良いような気がするのです。
 今回の企画は難しいものでした。愛知県岡崎市は御影石の産地です。そこで、御影石で理想の水切り石を作り、元プロ野球の投手に投げてもらい、岡崎の御影石をPRしようというものです。私の役目は、水切りのアドバイザーのようなものですが、これはとても難しい仕事です。私は、水切りの難しさや謎は知っていても、水切りの原理や、理想の水切り石について、ほんの一部しか知らないのです。当然、スタッフや水切り石を作る人達にもそれぞれに水切りの知識があり、人はわかった気になりたいものですから、多くの場合、簡単に考えていることが多く、私の思いをうまく伝えるのは、とても難しいことです。
 思った通り、様々な考え方や、石職人さんの技術的な難しさもありました。結局、水に接する部分の形状に問題が出ました。様々な形の石がありましたが、凹凸が深過ぎて水の抵抗が目立ってしまいます。反対に凹凸がなく、ツルツルに磨いた石は、水の粘着性の影響が大きく、水離れが悪くなり、それが一部分に作用すると、石の姿勢が保てなくなります。凸レンズのような形なら、石の水離れも安定するのですが、こんどは石のカーブが影響し、それが抵抗となって奇跡的なジャンプ数になりません。これらの問題には今も結論が出ていないのです。水切り石の比重や、投げた石のスピードにより、最適な石の比重や形状が変化するからです。
 水源の山から何百年も水に流され、浸食された自然の水切り石は、力ずくで作った石とは違い、僅かな凹凸がありますが、それは鋭角ではなく、波のように緩やかです。その僅かな凹凸が水と接する部分に空気を送り込み、それが微細な泡となり、石の水離れを良くし、水との摩擦や衝撃を軽減するのかも知れません。その形状は、石の比重や石を投げるスピードによって複雑に変ります。自然石が良く跳ねる原因はそのあたりにあるような気がしています。私はそんな水切り石を、自然と協調性のある「うひょひょ石」と呼んでいます。
 それでも、今回は自然石にはありえないような、沢山のモデル石を投げることができたのは大きな収穫でした。水切り石作りは、私のいないところで進みます。番組はわかりやすさを視聴者に提供しなければならず、技術的な問題もあり、私の主張を全て通すわけにはゆきません。また、石を投げる人に教えるのも難しいものです。短い時間で上手になれる人も稀にはいますが、野球の投手は、その基本が身に付いていて、石のスピードを生かすのがとても難しくなります。そのスピードを活かす技術を短時間でマスターするのが難しいのです。石のスピードを維持したまま、入水角度、石の横回転を同時にコントロールすることは簡単ではありません。今回も練習時間が少なく、石を完璧に投げることはできませんでした。
 私は、水切り石を作ることによって失われる水切りの楽しさもあると思いますので、石を作ることには賛成できませんが、自然石にはありえない人工石を投げることで、新しい気付きを得ることがあるのです。今回の収録も大きな収穫がありました。また、熊谷水きり倶楽部の若い会員が収録に協力することで、ロケ現場を経験できましたし、彼も様々に加工された水切り石を投げることができたのは、大きな収穫だったようです。結果が予想外の石もありました。まだまだ水切りには謎が多く、難しくて面白いものだと感じます。関係者の皆様に感謝致します。

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