介護の輪 - トピック返信
失ってからわかること
【返信元】 介護の理想
2019年02月23日 14:37
介護に苦慮していた私でしたが、殿を失った時の喪失感は思っていた以上でした。
難しい介護でしたが、そのことに、自分自身の存在意義も感じていたのです。
寝ている殿のご機嫌伺いに行くと、殿は、ベットの布団を少しめくって「入れよ」
と誘います。ずっと一緒に生きていた二人です。様々な思い出を共有しています。
私は、殿の布団に潜り込み、昔飼っていたペットのこと。初めてテレビを買った
時こと。母や祖父の思い出など、話は尽きません。近所の人の失敗談、軍隊の話、
兄弟の話など、おバカな話はいくらでもありました。
ジジイが二人、狭いベットの中で笑い合います。「こんなところを近所の人が
見たら気持ち悪いだろうね」と言う私に「そうだな、うひょひょ」と殿が笑います。
私は、植木の手入れや畑仕事をした結果を、殿に見せるのが好きでした。殿は私の
頭を撫で「エライエライ」と褒めてくれるのでした。そして、私は子供に戻り、
その時だけ、殿は、お父ちゃんになります。楽しくておバカな親子の遊びでした。
殿が亡くなり、葬儀までの数日間、殿の遺体と二人だけの何ともいえない時間を
過ごしました。ドライアイスで冷やされた殿の冷たい頭を撫で、何度も何度も
お別れをしましたが、返事はありません。妻も子もいない私にとって、殿の介護は
今までにない、深い人間関係でした。殿は骨になり、残された殿の汚れたオムツや、
手垢までが愛しいものに思えてきます。子に先立たれた親の気持ちがわかるような
気がするのでした。母が亡くなった時には殿がいましたが、今、家には私一人です。
暖かい猫のおばやんを抱いて、殿の隣で眠るのでした。朝になり、朝日が部屋に
差し込んで、どんなに明るくなっても、殿は静かに横たわっているだけなのでした。
とうとう、私は親のない子になってしまったのです。どんな悲しみも、苦しさも、
永遠に続かないことは経験済みですが、私は、1週間、毎日泣いて過ごしました。
介護は、一人の人間を見送ることになる切ない仕事です。何気ない日常がどんなに
大切だったのか、改めて感じるのでした。生前供養という言葉を頼りにしてきた私
ですが、やはり、なぜ、あの時もっと優しくできなかったのかという悔いは残ります。
それでも1年も過ぎると、仏壇に線香をあげるのを忘れてしまうことも出てきます。
「殿、申し訳ごさりませぬ」後は、殿に負けない可愛い爺さんになれるよう、修行
する所存でござりますので、何とぞ、お導きをお願い申し上げます。おほほ 

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介護の理想 - 08/05/14 11:57 (おじちゃん) 映画