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2016年02月01日(月) 
沖縄への出張で「絶対にお願い!」といつも頼まれているのが、ヤンバルのブランド豚「アグー」のお肉。牧志公設市場の中には、石垣牛や沖縄近海の魚貝類を扱うお店が並んでいますが、その中でねーねー(お姉さん)が切り盛りしている精肉店で、ロースとヒレのブロックを購入してきました。2キロで9,000円(税込)というお値段で、スーパーの倍以上しますが、その秘密は島豚復活のストーリーにあります。

700年以上も前に琉球に渡ってきて在来島豚となった黒豚「アグー」。琉球王朝時代から戦前まで、当たり前のように飼育され、食されていたアグーですが、戦争と豚コレラのせいでその数が激減しました。戦後、物資食料の乏しくなった沖縄を救おうと、ハワイの沖縄県人会が350匹の白豚が沖縄に送られました。品種改良が進み、赤肉も出産数も多く発育が早いことから、養豚農家は喜んで白豚を飼育し始め、沖縄の食糧事情も豊かになっていきました。そしていつの間にか、在来種アグーは養豚農家の豚舎から姿を消していったのです。

「アグー復活」と目指して行われた調査では、残っていたのはわずか18頭。まさに絶滅寸前という状態でした。養豚農家が趣味で飼っていたり、親戚で食べるためのものとして、飼育していただけでした。「沖縄の宝、沖縄の恵みを絶やしてはならない」と、名護博物館館長の島袋正敏さんが、あちらこちらに声をかけて、在来種に近いものから数頭を集めることになりました。このとき、養豚業者にもアグーの復活を手伝ってほしいと打診したところ「儲からん豚はいらん」とことごとく断られたそうです。

生育速度が遅く脂身が多いアグーは、豚肉商品としての価値が低く、また生育日数が長い分えさ代も膨らみます。そのため養豚農家は見向きもしなかったのです。そんな中、北部農林高校の一人の先生が手を挙げて、アグーの詳しい調査を行いました。するとアグーは、コレステロールが外来種の1/4、ビタミンB1(アミノ酸)が豊富、うま味成分のグルタミン酸が多く含まれていて、柔らかくておいしく、肉の色沢が良く、臭みがなく、あくが出にくくて、油が香ばしいなどなど、素晴らしい特性があることが分かりました。また、アグーは病気に強く粗食にも耐える豚で「これぞ長寿の源かもしれない」と、生徒たちも一丸となってアグーの復活への道を歩み始めたのです。

しかし、残っていたアグーはほとんどが親子や兄弟、親戚と、血が近いもの同士で、そのため近交退化(近親交配退化)が起こりました。時を同じくして、畜産試験場でもアグーの研究を重ねていたが、やはり数が少なすぎて、原種のみでの交配は無理だと判断。悩んだ末に他の種の豚を交配に使い、血を薄くして、再びアグー原種とかけ合わせていく戻し交配が行われました。長い年月と忍耐を乗り越えて、1995年に在来豚アグーに限りなく近い黒い豚が蘇ったのです..パチパチパチ!!

すばらしい沖縄の宝が蘇ったにもかかわらず、その後も畜産農家はアグーの飼育にまだまだ消極的でした。白豚をセリに出すと3万円の値がつくときに、アグーは8千円にしかなりません。いい豚だというのはわかったけど、豚肉の品質評価と価格は赤肉の比率で決まり、現代の養豚ではコストと利益が合わないのです。脂身が多いアグーは、売っても儲からないと逃げ腰だったのも理解できます。

しばらくは、研究者同士での意見交換の域を越えない時代が続きましたが、2000年に県立北部農林高校や、沖縄県畜産試験場などの専門機関の連携で「琉球在来豚アグー保存会」が発足、在来種保存に向けての機運が高まりました。アグーは、白豚の基準で勝負せずに、肉の栄養価を前面に出して勝負すれば、高値で売ることも十分に可能になるに違いない。まさに、沖縄の在来豚アグーとしてのブランドを確立する取り組みでした。

近年、長寿県沖縄の研究も盛んになって、数多くの食材が見直されてきています。もちろん、アグーについても、注目を浴びて、ブランド化に成功しました。まだまだ本土に出せるほど、大量に出荷できてはいませんが、近い将来、ご近所のお肉屋さんにアグーの肉が並ぶその日も、そう遠くないかもしれません。

閲覧数841 カテゴリ日記 コメント1 投稿日時2016/02/01 16:54
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